はじめに:2025年のSDカード市場と本記事の目的

近年、デジタルカメラやビデオカメラ、スマートフォン、ドローン、さらには産業用機器まで、SDカードは多様なデバイスで活用されています。
2025年現在、従来のSDカード規格に加え、データ転送速度と容量の大幅な向上を実現した「SDエクスプレス」など新しい規格の普及が進み、市場は大きな変革期を迎えています。
特に、写真や動画の高解像度化、AI・IoT機器の普及により、SDカードには「より高速」「より大容量」「より高い信頼性」が求められるようになりました。
これに伴い、対応機器や用途に応じて適切なSDカードを選ぶことが重要となっています。
本記事では、2025年時点のSDカードの最新事情に焦点を当て、基本知識から最新規格「SDエクスプレス」の特徴、用途別の選び方、対応機器の注意点、そして信頼できるブランド・モデルまで徹底解説します。
SDカード選びで失敗したくない方、今後の買い替えや新規購入を検討している方に向けて、役立つ情報を詳しくご紹介します。
SDカードの基本知識

SDカード(Secure Digitalカード)は、デジタルデータの保存を目的とした小型のフラッシュメモリカードです。
2000年頃から本格的に普及し、カメラやスマートフォン、ノートパソコン、音響機器、ドローンなど幅広いデバイスで使用されています。
SDカードには、容量や物理サイズ、転送速度の違いによってさまざまな種類があります。主に以下の3つのタイプが存在します。
SD(最大2GB)
最も初期の規格で最大2GBまで保存できます。現在では新製品ではほとんど見かけません。
SDHC(High Capacity、4GB~32GB)
4GBから32GBまで対応し、多くのデジカメや記録機器で主流となったタイプです。
SDXC(eXtended Capacity、64GB~2TB)
64GBから最大2TBまでの大容量に対応し、4K動画や連写写真など大量のデータ保存が必要な用途で多く使われています。
SDUC(Ultra Capacity、2TB~128TB)※新規格
2TBを超え最大128TBまでサポートする最先端規格ですが、2025年時点では対応機器や流通が限られています。
サイズも「スタンダード」「miniSD」「microSD」の3種類がありますが、現在は「microSD」と「スタンダードSD」が主流です。
microSDカードはアダプターを使うことでスタンダードサイズにも対応可能です。
また、SDカードには「ライトプロテクトスイッチ(書き込み防止スイッチ)」が付いているモデルもあり、大切なデータを誤って消去するリスクを減らせます。
このようにSDカードは、容量・速度・サイズなど多様なバリエーションが存在し、それぞれの用途やデバイスごとに最適な選択が求められます。
本記事では続けて、最新のSDカード規格や選び方について詳しく解説します。
SDエクスプレスとは何か?

SDエクスプレス(SD Express)は、従来のSDカード規格に比べて「圧倒的な高速データ転送」を実現した次世代のSDカード規格です。
SDエクスプレスは、SDアソシエーションが策定したSD 7.0規格(2018年)で初登場し、その後も進化を続けています。
2025年現在、プロカメラマンや4K/8K動画撮影、ゲーミング、AIデバイスなど「超高速・大容量」が求められる最新機器への需要が高まっています。
特徴と技術
- PCIeおよびNVMeプロトコルを採用
パソコンの高速SSDでも使われているPCI Express(PCIe)およびNVMeプロトコルを採用することで、これまでのSDカードでは到達できなかった転送速度を実現したのが大きなポイントです。 - 理論最大転送速度:985MB/秒以上
SDエクスプレス(SD 7.0)は最大985MB/秒、SD 8.0規格では理論値で4GB/秒以上の転送速度が可能となっています。これは従来のUHS-II(最大312MB/秒)やUHS-III(最大624MB/秒)を遥かに上回る性能です。 - 大容量と高信頼性
SDエクスプレスはSDXC、SDUC規格のカードに採用可能で、2TB超の大容量にも対応しています。また、SSD同様に優れた耐久性やエラー訂正機能も取り入れられています。
互換性と注意点
SDエクスプレスカードは、従来のSDインターフェース(UHS-I/II/III)スロットでも従来規格で利用可能です。ただし、SDエクスプレスの本来の超高速性能を発揮するには「SDエクスプレス対応スロット」を搭載した最新機器が必要です。購入前に利用機器の対応状況を確認しましょう。
SDエクスプレスは、データ転送速度がボトルネックとなっていた高解像度映像編集や、大容量データを扱う新時代のニーズに応える次世代ストレージとして、2025年以降の標準規格となることが期待されています。
主要SDカード規格の比較と選び方

SDカードには用途や性能、対応する機器に合わせて複数の規格が存在します。
自分の使い方や機器に最適なSDカードを選ぶためには、それぞれの規格の特長をよく理解しておくことが重要です。
規格別の主な特徴一覧
| 規格名 | 容量の範囲 | 最大転送速度(理論値) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| SD | 最大2GB | 最高25MB/秒 | 古いデバイス向け |
| SDHC | 4GB〜32GB | 最大104MB/秒 | デジカメ、ビデオカメラなど一般用途 |
| SDXC | 64GB〜2TB | 最大312MB/秒(UHS-II時) | 4K動画、高解像度写真、プロ撮影機材 |
| SDUC | 2TB〜128TB | 最大985MB/秒〜 | 超大容量・高速データ処理が必要な用途 |
| SDエクスプレス(SD Express) | SDXC/SDUC型で展開 | 985MB/秒~4GB/秒以上(PCIe3.0/4.0) | 8K動画、プロ用途、ゲーミング、AI機器 |
選び方のポイント
- 対応機器を必ず確認
購入前に、自分の使う機器がどの規格に対応しているか(SDHC/SDXC/SDUC/SDエクスプレス対応か)を必ず確認しましょう。対応していない規格のカードは使えないか、速度が十分に発揮されません。 - 容量と速度は用途に合わせて選ぶ
写真データ中心のライトユーザーならSDHCや低容量SDXC、4K/8K動画や連写撮影には高速・大容量のSDXCやSDエクスプレス、SDUCが推奨されます。 - 速度クラスの違いもチェック
同じSDXCでも記録速度が異なる「UHS-I」「UHS-II」「UHS-III」や「ビデオスピードクラス」などが設定されています。用途と機器のスペックを踏まえて速度クラスも選びましょう。 - 信頼性・ブランドも考慮する
長期保存や大事なデータには、実績のあるブランドや信頼性の高いモデルが安心です。耐衝撃、防水、耐温度などの保護機能も重要ポイントです。
SDカード選びは「対応規格」「必要な容量と速度」「信頼性」の3点を中心に比較することが、後悔しない選択につながります。
SDカードの速度クラスと規格の最新動向

SDカードを選ぶ際に非常に重要なのが「速度クラス」です。
これはデータの読み書き速度を示す指標で、高解像度写真や4K・8K動画撮影、連写、プロ用途においては特に重視されます。
2025年現在、速度クラスや関連規格も進化を遂げ、新たな選択基準となっています。
主な速度クラスとその意味
- スピードクラス(Speed Class)
“C”マークで表記される最も基本的なクラス。 - Class2(2MB/秒)、Class4(4MB/秒)、Class6(6MB/秒)、Class10(10MB/秒)
- UHSスピードクラス(UHS Speed Class)
UHS(Ultra High Speed)インターフェースのカードで、「U」マークが付与。 - UHS-I:最大104MB/秒
- U1(最低10MB/秒)、U3(最低30MB/秒)
- ビデオスピードクラス(Video Speed Class)
最新の4K・8K動画記録に最適な規格で「V」マーク表示。 - V6(6MB/秒)、V10(10MB/秒)、V30(30MB/秒)、V60(60MB/秒)、V90(90MB/秒)
2025年の最新動向
- SDエクスプレス登場による超高速時代へ
SDエクスプレス対応カードはPCIe/NVMe搭載により最大985MB/秒~4GB/秒以上の超高速転送が可能です。高速書き込みが必須な8K動画やRAW連写、多量のデータ移行など、プロユースや次世代デバイスに最適です。 - ビデオスピードクラスの普及
4K/8K動画撮影が当たり前になったことで、V30以上(特にV60、V90)対応モデルの需要が拡大。推奨録画速度を満たすモデルを選ぶことが安定動作のカギです。 - アプリケーションパフォーマンスクラス(A1/A2)
スマートフォンやタブレット向けに、アプリの起動・動作速度基準を設けたもの。アプリをSDカードへ移動する場合は「A1」「A2」ロゴもチェックしましょう。
速度表示の見方と注意点
カードパッケージや本体に印字された各種ロゴやクラス表記(C, U, V, A)は、必ず購入前に確認しましょう。書き込み速度を中心に考えることで、「動画撮影が途中で止まる」「連写がもたつく」といったトラブルを回避できます。
今後もSDエクスプレスやビデオスピードクラスのさらなる高速化は進展が予想され、データ需要の増大に対応した規格進化が続いていきます。SDカード購入時は、必ず最新動向を把握し、自分の用途に最適な速度クラスを選択してください。
機器別の対応状況と注意点

SDカードは多種多様なデジタル機器で使われていますが、各機器で対応するSDカードの規格や速度に違いがあります。
2025年現在、SDエクスプレスなど最新規格の普及が進んでいますが、すべてのデバイスが対応しているわけではないため、購入・使用時には対応状況をしっかり確認することが重要です。
主な機器別の対応状況
- デジタルカメラ・ビデオカメラ
高画質・高解像度映像を撮影するプロモデルはSDエクスプレス対応が進んでいます。一般的なエントリーモデルではSDHC・SDXCまでの対応が多いですが、高速連写や4K/8K動画撮影を行う場合はUHS-II以上またはSDエクスプレス対応が望ましいです。 - スマートフォン・タブレット
主にmicroSDカードが使われ、容量はSDXCまで対応しているモデルが標準です。速度面ではアプリケーションパフォーマンスクラス(A1/A2)をサポートしていることが多いですが、最新のSDエクスプレス対応はまだ限定的です。 - ノートパソコン・PC
多くのノートPCはSDXC対応でUHS-Iが主流ですが、クリエイター向けのハイエンドモデルではUHS-IIやSDエクスプレス対応スロットが搭載され始めています。高速データ転送が必要な場合は対応機種を選ぶことが重要です。 - ドローン
高解像度カメラ搭載の機種はUHS-IIやSDエクスプレス対応が好まれます。振動や衝撃に強い耐久性のあるカードが望ましいです。 - ゲーム機
近年のゲーム機ではmicroSDXCを標準採用。高速読み込みを求められるため、UHS-I以上の高速クラスやアプリパフォーマンスクラス対応カードが推奨されます。SDエクスプレス対応機種はまだ少ないですが今後増加が見込まれます。
注意点と対策
- 互換性の確認が最優先
新しい規格のカードが旧型機器で使えない、または速度が発揮できないことがあります。仕様書やメーカーサイトで対応状況を必ずチェックしてください。 - 速度と用途のバランスを考慮
過剰に高速なカードでも対応機器が速度を活かせなければ無駄になります。一方で撮影や録画が多い場合は速度不足によるトラブルを避けるため、できるだけ速く信頼性の高いカード選びが重要です。 - 耐久性のチェック
防水・耐衝撃・耐低温・静電気防止などの耐久性能も機器や使用環境に応じて検討しましょう。特にアウトドア撮影や業務用は耐久性が重要です。
機器別の対応を正確に理解し、自分の使い方に合わせたSDカードを選ぶことがストレスフリーかつ効率的なデータ管理につながります。
2025年おすすめSDカードブランドとモデル紹介
2025年現在、信頼性が高く品質の優れたSDカードブランドとして、日本製とアメリカ製を中心に複数の一流メーカーが市場をリードしています。以下に、購入しやすく、性能や保証面で安心できるおすすめブランドと代表的なモデルを紹介します。
キオクシア(KIOXIA)【日本製】

東芝の半導体メモリ事業から独立した日本のブランドで、高品質かつ高耐久なSDカードを提供しています。特に「EXCERIA」シリーズはプロの写真家やクリエイターからも支持されています。
- おすすめモデル: EXCERIA PLUS G2
- 特徴:UHS-I・V30対応で、4K動画撮影に最適。1TBまでの大容量モデルがあり、大量保存にも強い。
- 安心の5年保証付き。
サンディスク(SanDisk)【アメリカ製】

1988年創業のアメリカ老舗ストレージメーカーで、世界的シェアNo.1。高速かつ耐久性に優れたモデルが豊富で、新世代のSDエクスプレス対応モデルもラインアップ。
- おすすめモデル: Extreme PRO SDXC UHS-I/UHS-II
- 特徴:最大読み出し速度170MB/sを誇り、8K動画や連写撮影に対応。耐水・耐衝撃性能も備える。
- 無期限保証やデータ復旧サービスが付帯している点も安心材料。
- おすすめモデル(コスパ重視): Ultra PLUS
- 初心者や日常利用に向くバランス型で、信頼のブランド力が魅力。
トランセンド(Transcend)【台湾製・世界展開】

価格と品質のバランスが良く、ドライブレコーダー向けの耐久モデルやA2対応高速モデルが充実。手頃な価格で高品質を求める方向け。
- おすすめモデル: 高耐久「High Endurance」シリーズ
- 特徴:長時間録画向けの耐久性に優れ、データ損失リスクを軽減。
プログレードデジタル(ProGrade Digital)【アメリカ製】

2017年設立の比較的新しいブランドですが、プロ仕様の高性能カードをリーズナブルに提供。全品検査で品質管理が徹底されています。
- おすすめモデル: SDXC UHS-II V90 シリーズ
- 特徴:プロのビデオグラファーやフォトグラファーに支持される高速性能と信頼性。
購入時は、使用機器の対応規格や必要な速度クラス(例:V30、V60、V90、U3など)を確認し、用途に合った安心かつ高性能なカードを選ぶことが、快適なデジタルライフのポイントです。
どのブランドもAmazonなど主要ネットショップで入手しやすく、サポートも充実しています。
SDカードの正しい使い方とメンテナンス

SDカードは精密な電子部品であり、長く安定して使い続けるためには正しい取り扱いと定期的なメンテナンスが欠かせません。
2025年の最新規格のカードでも基本的な使い方のルールは変わらず重要です。
正しい使い方のポイント
- 機器に合った規格・速度クラスのカードを使う
対応機種の仕様を必ず確認し、最適な規格(SDHC、SDXC、SDエクスプレスなど)や速度クラスのカードを選びましょう。 - カードの抜き差しは電源オフまたは安全排出で行う
デバイスの電源が入っている状態やアクセス中に抜くとデータ破損やカード故障の原因になります。必ず電源を切るか、OSの「安全に取り外す」操作をしてから抜き差ししてください。 - データのバックアップはこまめに
SDカードは消耗品です。特に重要なデータは定期的に複数媒体にバックアップをとり、万が一のデータ損失に備えてください。 - フォーマットは機器の指示に従う
カードを使用前やデータ整理時は、使用機器に付属のフォーマット機能で初期化するのが最も安全です。パソコンのフォーマットは避けるか、対応フォーマットに注意しましょう。
メンテナンスの注意点
- カードの接点は清潔に保つ
SDカードの金属接点部分にほこりや汚れが付くと読み書きエラーの原因になります。柔らかい乾いた布で優しく拭いてください。 - 極端な温度や湿度を避ける
高温多湿や極寒環境はカード性能に悪影響を与えます。使用環境や保管場所にも注意しましょう。 - 物理的な衝撃や水濡れに注意
落下や強い衝撃はカード破損のリスクがあります。水濡れは防水機能付きカードでも避けたほうが安全です。 - 定期的に動作確認を行う
長期間使っていないカードも、たまにパソコンやカメラで読み書きできるか確認することをおすすめします。不具合があれば早めにデータ移行を検討しましょう。
このように、日常的に正しい操作と取り扱いを心がけることがSDカードの寿命を延ばし、データの安全性を高めます。
特に高速・大容量になった最新のSDエクスプレスカードほど、慎重な取り扱いが必要です。
まとめ:あなたに最適なSDカードの選び方

2025年のSDカード市場は、高速化と大容量化が進み、特にSDエクスプレス規格の登場により、これまでにない性能が求められる時代へと突入しています。
用途や対応機種に応じて最適なカードを選ぶことが、快適でトラブルのないデジタルライフの鍵となります。
選び方のポイントを振り返ると、
- 対応機種の規格とインターフェースを確認すること
SDHC、SDXC、SDUC、SDエクスプレスそれぞれの規格対応が異なるため、必ず機器の仕様をチェックしましょう。 - 用途に応じた容量と速度クラスを選ぶこと
写真撮影や動画撮影、データ転送速度のニーズに合わせ、V30、U3、V60などの速度クラスを意識して選ぶのが重要です。 - 信頼できるブランドと製品を選ぶこと
キオクシア、サンディスク、トランセンド、プログレードデジタルなど、安心の実績を持つメーカーから選ぶことで品質とサポートに優れた製品を購入できます。 - 正しい使い方とメンテナンスを心がけること
SDカードは繊細なメディアです。取り扱いや保存方法次第で寿命やパフォーマンスが大きく変わるため、日頃のケアを怠らないことが大切です。
これらを踏まえ、最新のSDエクスプレスカードも含め、用途や予算に応じた最適なSDカードを見つけてください。最新技術を活かすことで、撮影やデータ保存の快適さが大幅に向上します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
あなたのデジタルライフがより豊かで快適なものになることを願っています。


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