はじめに

2025年1月17日、Microsoftは個人向け「Microsoft 365」(PersonalおよびFamily)の大幅な価格改定を実施しました。
この値上げは、AIツール「Copilot」の統合という大きな機能追加を伴うものでしたが、同時に多くのユーザーに再考を迫る結果となりました。
価格改定の概要(Microsoft Store参考価格):
- Microsoft 365 Personal: 年額14,900円 → 21,300円(約43%増)
- Microsoft 365 Family: 年額21,000円 → 27,400円(約30%増)
この値上げにより、多くのユーザーが「AIは不要だから、価格を維持してほしい」という声を上げています。
そこで、本記事では、サブスクリプション型のMicrosoft 365と買い切り型のOfficeを比較し、それぞれの特徴やメリット、デメリットを詳しく解説します。
また、値上げ対策として注目されている「クラシック」プランの活用方法も紹介します。
このプランを利用することで、Copilot機能なしで従来の価格を維持できる可能性があります。
本記事を通じて、あなたのニーズや予算に最適なOffice製品の選び方を学び、賢明な選択をするための情報を得ることができます。
2025年の最新状況を踏まえ、サブスクリプションと買い切りのどちらがお得なのか、一緒に考えていきましょう。
Microsoft 365(サブスクリプション版)の特徴

Microsoft 365のサブスクリプション版は、常に最新のOfficeアプリケーションと機能を利用できる点が大きな特徴です。
2025年1月の価格改定により、さらに強力なAI機能が追加されました。
主な特徴
- 常に最新版を利用可能: 定期的な更新により、最新の機能やセキュリティ対策が自動的に適用されます。
- クラウドサービスとの統合: OneDriveの1TBのストレージやOutlookのメールサービスなど、クラウドベースのサービスが含まれています。
- 複数デバイスでの利用: 1つのサブスクリプションで、複数のデバイス(PC、タブレット、スマートフォン)で利用可能です。
- AI機能「Copilot」の統合: 2025年1月の改定により、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどの主要アプリでAI支援機能が利用可能になりました。
Copilotの機能
- Word: ドキュメントの下書き作成、要約、質問応答機能
- PowerPoint: プレゼンテーションの自動作成、スライドデザインの提案
- Excel: データ分析、グラフ作成の支援
- Outlook: メール作成支援、メールスレッドの要約機能
- Teams: 会議の要約、リアルタイムでの質問応答
価格
2025年1月17日からの新価格:
- Microsoft 365 Personal: 年額21,300円(Microsoft Store参考価格)
- Microsoft 365 Family: 年額27,400円(Microsoft Store参考価格)
注意点
- AIクレジットの制限: 月60回までCopilotを使用可能。追加使用にはCopilot Proサブスクリプション(月額3200円)が必要。
- 継続的な支払いが必要: サブスクリプション終了後はアプリの編集機能が制限されます。
Microsoft 365のサブスクリプション版は、最新のテクノロジーを常に利用したい、複数デバイスで作業する機会が多い、またはAI機能を積極的に活用したいユーザーに適しています。
買い切り版Officeの特徴

買い切り版Officeは、一度購入すれば永続的に使用できる製品です。
2025年現在、最新バージョンはOffice 2024で、主に以下の2種類があります。
Microsoft Office Home 2024
- 含まれるアプリ: Word、Excel、PowerPoint、OneNote
- 対応OS: Windows 11、Windows 10、macOS
- インストール可能台数: PC2台まで
- 価格: 34,480円(税込)(Microsoft Store参考価格)
Microsoft Office Home & Business 2024
- 含まれるアプリ: Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote
- 対応OS: Windows 11、Windows 10、macOS
- インストール可能台数: PC2台まで
- 価格: 43,980円(税込)(Microsoft Store参考価格)
主な特徴
- 一回限りの支払い: 初期投資は高めですが、長期的には経済的になる可能性があります。
- 永続ライセンス: サブスクリプションとは異なり、支払いを続ける必要がありません。
- オフライン使用: インターネット接続なしで使用できます。ただし、初回のアクティベーションには接続が必要です。
- 商用利用可能: 両バージョンとも商用利用が可能です。
- 機能の固定: 購入時の機能のみが使用可能で、大規模な更新はありません。
- クラウドサービスの制限: OneDriveの容量が5GBに制限されるなど、クラウドサービスの利用に制限があります。
買い切り版Officeは、長期的な使用を予定している場合や、常に最新機能を必要としないユーザーに適しています。
また、インターネット接続が不安定な環境でも安定して使用できる点が魅力です。
コスト比較

Microsoft 365のサブスクリプション版と買い切り版Officeのコスト比較を行い、長期的な視点から見てどちらがお得かを検討します。
5年間の費用比較
製品・プラン名 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 5年間合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
Microsoft 365 Personal | 21,300円 | 21,300円 | 21,300円 | 21,300円 | 21,300円 | 106,500円 |
Microsoft 365 Family | 27,400円 | 27,400円 | 27,400円 | 27,400円 | 27,400円 | 137,000円 |
Office Home & Business 2024 | 43,980円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 43,980円 |
分析
- 初期投資: 買い切り版のOffice Home & Business 2024は初年度に高額な投資が必要ですが、その後の費用はかかりません。
- 長期的コスト: 5年間使用した場合、買い切り版が最も経済的です。Microsoft 365 Personalの場合、3年目以降は買い切り版よりも総コストが高くなります。
- 機能と更新: サブスクリプション版は常に最新の機能が利用可能ですが、買い切り版は購入時の機能のみで、大規模な更新はありません。
- クラウドサービス: Microsoft 365には1TBのOneDriveストレージが含まれますが、買い切り版では5GBに制限されます。
- AI機能: 2025年の価格改定により、Microsoft 365にはCopilot機能が統合されました。これは買い切り版には含まれない付加価値です。
注意点
- 買い切り版のOffice Home & Business 2024は2029年10月にサポートが終了します。
- Microsoft 365のクラシックプラン(AI機能なし)を選択することで、一時的に価格上昇を抑えることができます。
コスト面だけでなく、必要な機能や使用頻度、複数デバイスでの利用の有無など、個々のニーズに合わせて選択することが重要です。
ユーザー別おすすめプラン

ユーザーの状況や需要に応じて、最適なOfficeプランは異なります。
以下に、代表的なユーザータイプ別におすすめのプランを紹介します。
個人ユーザー
- 一般的な個人ユーザー
- おすすめ:Microsoft 365 Personal
- 理由:最新のOfficeアプリとクラウドサービスを手頃な価格で利用可能。1TBのOneDriveストレージも魅力的。
- 複数デバイスを使用する個人
- おすすめ:Microsoft 365 Personal
- 理由:最大5台のデバイスで利用可能。PCとスマートフォン、タブレットなど複数のデバイスを使い分ける人に適している。
- AI機能を積極的に活用したいユーザー
- おすすめ:Microsoft 365 Personal
- 理由:Copilot機能が統合され、AI支援による生産性向上が期待できる。
家族・小規模グループ
- 家族や友人グループ(2〜6人)
- おすすめ:Microsoft 365 Family
- 理由:最大6人まで利用可能で、1人あたりのコストが大幅に削減される。1人あたり年間約4,110円と非常にお得。
長期利用・オフライン重視ユーザー
- 長期間同じバージョンを使い続けたいユーザー
- おすすめ:Office Home & Business 2024(買い切り版)
- 理由:初期投資は高いが、3年以上使用する場合はコスト面で有利になる可能性がある。
- インターネット接続が不安定な環境のユーザー
- おすすめ:Office Home & Business 2024(買い切り版)
- 理由:オフラインでも安定して使用可能。クラウドサービスへの依存度が低い。
選択の際は、必要な機能、使用期間、予算、インターネット環境などを総合的に考慮することが重要です。
また、Microsoft 365のクラシックプラン(AI機能なし)も、一時的な値上げ対策として検討する価値があります。
サブスクと買い切りの選び方

Microsoft Officeの選択において、サブスクリプション版と買い切り版のどちらを選ぶかは、個々のニーズや状況によって異なります。
以下の要素を考慮して、最適な選択をしましょう。
使用期間
- 3年未満の短期利用:サブスクリプション版
- 4年以上の長期利用:買い切り版
機能の重要性
- 最新機能が必要:サブスクリプション版(常に最新版を利用可能)
- 基本機能で十分:買い切り版
予算
- 初期コストを抑えたい:サブスクリプション版
- 長期的なコスト削減:買い切り版(4年目以降はお得になる可能性)
デバイス数
- 複数デバイスで使用:サブスクリプション版(最大15デバイスまで)
- 1〜2台のみ:買い切り版(2台まで)
クラウドサービスの必要性
- クラウドストレージが必要:サブスクリプション版(1TBのOneDrive付き)
- オフライン作業が主:買い切り版
業務形態
- リモートワークやチーム協業が多い:サブスクリプション版(Teamsなどのツール付き)
- 個人作業が中心:買い切り版
セキュリティ要件
- 常に最新のセキュリティ更新が必要:サブスクリプション版
- 安定した環境を維持したい:買い切り版
インターネット環境
- 安定したインターネット接続あり:サブスクリプション版
- オフライン環境での使用が多い:買い切り版
ビジネス規模
- 中小企業や成長中の企業:サブスクリプション版(柔軟なスケーリングが可能)
- 個人事業主や小規模事業:状況に応じて選択
特殊な要件
- 医療システムや航空管制など、機能更新が規制される分野:買い切り版
これらの要素を総合的に評価し、自身のニーズに最も適したOffice製品を選択することが重要です。
まとめ

Microsoft 365(サブスクリプション版)と買い切り版Officeの選択は、個々のニーズや予算に応じて慎重に検討する必要があります。
サブスクリプション版の主な利点:
- 常に最新版のOfficeアプリケーションを利用可能
- クラウドストレージ1TBが含まれる
- 複数デバイスでの利用が可能
- AI機能(Copilot)の統合(新価格プランのみ)
買い切り版の主な利点:
- 一度の支払いで長期利用が可能
- インターネット接続不要で使用可能
- 初期コストは高いが長期的にはコスト効果が高い場合も
コスト面では、短期的にはサブスクリプション版が有利ですが、長期的には買い切り版が経済的な選択肢となる可能性があります。
ただし、最新機能やセキュリティ更新の重要性を考慮すると、サブスクリプション版の価値は無視できません。
ユーザー別のおすすめプラン:
- 個人ユーザー: 利用頻度が低い場合は買い切り版、高い場合はMicrosoft 365 Personal
- 家族や小規模グループ: Microsoft 365 Family
- 長期利用・オフライン重視ユーザー: Office Home & Business 2024(買い切り版)
選択の際は、必要な機能、利用期間、予算、更新の手間、最新機能の重要性を総合的に評価することが重要です。
個々のニーズに最適なプランを選ぶことで、生産性の向上とコスト効率の最大化を図ることができるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
本記事がOffice製品の選択に際して、皆様の参考になれば幸いです。
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